退任する石井琢朗コーチとともにカープを支える打撃コーチがあと2人います。
東出コーチ、迎コーチです。
この3人が奏でる絶妙なバランスの上での指導が上手くはまり、カープの攻撃力につながっています。
今日はそんな3人の打撃コーチについて書きたいと思います。
東出コーチは1998年ドラフト1位でカープに入団。
小柄ながらもキャプテンを務めて1番投手で高校時代チームを牽引し甲子園でも活躍。
そのセンスをプロに入ってからもいかんなく発揮し、入団投手は主にショート、その後はセカンドで試合に出場。
カープ一筋17年で通算1366本の安打を放つ等、カープ低迷期を支えたレギュラー選手の一人でした。
そんな東出コーチは現役引退後の2016年から1軍打撃コーチに就任。
現役時代、「神様」のような実績を残した緒方監督や石井琢朗コーチの「通訳みたいなもの」として、指導の中で「凡人」に分からない感覚を迎コーチと共に伝えるのが仕事だと語っています。
東出コーチの功績として特に注目されるのが試合中の修正の部分。
凡退した打者にアドバイスを送って上手く気持ちを切り替えさせているとカープOBの横山竜司さんが語っています。
現役時代3割に到達したのは1度だけ、苦労も多かった分その引き出しも多く、年齢もまだ30代と若い。
スーパースターというよりいぶし銀に近い選手だっただけに若い選手でも話しやすい雰囲気があるのかもしれませんね。
また東出コーチには他の二人にはない長いカープ歴があります。
高卒でプロ入りして10年弱経っている安部選手など、他球団であれば活躍する前にトレードに出されたり戦力外になってもおかしくない。
それでも辛抱強く育てようとするカープ球団のことをよく分かっているために、必死にそういった立場の選手たちを指導します。
その選手たちが結果を出してつかみ取った昨年の優勝は、現役時代Aクラスすら経験できなかった東出コーチをして、「本当に嬉しかった、選手の時より嬉しかったんじゃないか」と言わしめています。
もう一人の打撃コーチ、迎コーチは1999年ドラフト3位でオリックスに入団。
2軍では多くの出場機会を与えられ、順調に成長を重ねますが1軍では出場機会を中々生かせず、実績を残すことができません。
2007年には2軍で三冠王を獲得するなど、1軍での活躍を期待されますがその後も1軍では実績を残せず。
2010年途中に喜田剛選手、長谷川昌幸投手との交換トレードでカープにやってきます。
カープでは2012年半ばに一時的に結果を残して出場機会を増やしますがシーズンを通しての活躍はできず、2014年に戦力外。
その後打撃コーチ補佐を経て、2016年から正式に打撃コーチに就任しています。
石井コーチ、東出コーチとは違い、現役時代に1軍では結果を残せませんでした。
戦力外通告を受け、打撃コーチ補佐に就任したのは32歳の時。
現役の多くをオリックスで過ごし、実績も残しておらず、年齢も若いために年上の選手もいる。
しかも2軍ではなく打撃コーチ補佐とはいえ1軍への抜擢。
就任前は相当悩んだと言いますが、それでも自身の現役時代、コーチに対して「実績も残していないのに偉そうに」と思った時のことを振り返るとその言い方や接し方に問題があったのだと行き着きます。
13年にも及ぶ現役時代の経験から「こういう接し方だったら話しやすかった、効きやすかった」というのを持てていた分、コーチを引き受けることを決断。
レギュラー選手にも控え選手にも分け隔てせず、平等に悪いと思ったことは悪いということを心掛けたと言います。
それを可能にするのが選手ごとに持っている毎日欠かさずに確認しないといけないポイント。
他の打撃コーチより1年長くカープの選手の打撃を指導している分、選手の調子がおかしくなるときの傾向をしっかりと把握しています。
そして選手につきっきりで指導し、その鋭い観察眼で選手たちを導く。
大ベテランの新井選手に対しても身振り手振りを交えてしっかりと議論ができる。
そんなところに迎コーチの凄さが出ています。
レギュラーでも控えでも、若手にもベテランにも分け隔てなく平等に接するその姿勢が、迎コーチの言葉に説得力を持たせていると言えるのでしょう。
そしてコーチとしても、石井コーチ・東出コーチの引き出しの多さに触れることで日々成長しています。
特に現役時代外野手だった迎コーチにはない視点を、内野手だった石井コーチ、東出コーチから吸収できているのだとか。
そんな迎コーチの姿勢は、その分け隔てしない指導で矢面に立つ一番嫌な役を引き受けてくれていると東出コーチにも高く評価されています。
言うだけではなく早出特打ちから選手に付き合い、カープ選手の打撃映像だけでなく相手投手の映像も毎試合チェック。
試合が終われば鈴木誠也選手らのスイングチェックにも付き合います。
分け隔てなく指導するために、誰よりも選手と多くの時間を過ごして徹底的に観察眼を養っています。
2016年に3人の打撃コーチを任命する際に、コーチの人数が多すぎて現場が混乱ことを懸念する声もあったといいます。
それでも緒方監督、石井琢朗コーチ、東出コーチ、迎コーチは打撃理論としては近い感覚を共有しており、役割分担も上手くできたことで選手にとってはとても贅沢な環境を提供することに成功。
ベンチでの助言に食い違いがでずに選手たちの好不調の見極めも素早く行えているようです。
石井コーチが練習メニューや育成方針の大枠を決定、東出コーチが打撃指導を主にこなして、迎コーチが選手の相談相手になる。
この3人の分業が上手く機能していたからこそ、カープ野手陣の素晴らしい成長があると言えそうです。
それだけにこの3人体制の2年目を終えて関係性、連携がより成熟していただけに解消が残念に思われますが、こればかりは仕方ないですね。
石井コーチが抜ける来シーズン、残ってくれるであろう2人の打撃コーチの手腕が問われます。
日本一に向けて、これからもチーム一丸で一戦一戦、頑張ろう、カープ!
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