前回守備編から大分時間が経ってしまいましたが、ようやく攻撃編をまとめられました。
まだ守備編をご覧になっていない方は、守備編でそもそもなぜアライバと比べているのかの背景と今回の攻撃編で総括をしてしまうことから守備編を先に読んでからご覧いただけると話の流れがすっきりするかと思います。
2017年シーズン終了時の更新版はこちら!
それでは今回はカープが誇るタナキクとアライバを攻撃面のデータから徹底的に比較したいと思います。
「タナキク」と「アライバ」攻撃面での比較年度は?
単年での比較では少しムラが出そうでしたので連続した2年で比較することにしました。
タナキクはまだ歴史が浅いので2015年、2016年を、アライバは攻撃面で全盛期だった2004年、2005年のデータを用いたいと思います。
カッコ内数字はドラゴンズは左から荒木選手、井端選手。
カープは左から田中選手、菊池選手です。
試合数 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 得点 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 併殺打 | 出塁率 | OPS | |
2004中日 | 276 (138, 138) | 0.594 (.292, .302) | 9 (3, 6) | 101 (44, 57) | 174 (93, 81) | 60 (39, 21) | 25 (7, 18) | 161 (87, 74) | 23 (7, 16) | 0.689 (.322, . 367) | 1.433 (.671, .762) |
2005中日 | 291 (145, 146) | 0.614 (.291, .323) | 8 (2, 6) | 104 (41, 63) | 175 (88, 87) | 64 (42, 22) | 25 (6, 19) | 151 (74, 77) | 24 (13, 11) | 0.737 (.332, .405) | 1.494 (.677, .817) |
2015広島 | 284 (141, 143) | 0.528 (.274, .254) | 16 (8, 8) | 77 (45, 32) | 123 (61, 62) | 25 (6, 19) | 54 (5, 49) | 197 (105, 92) | 15 (8, 7) | 0.617 (.325, .292) | 1.373 (.738, .635) |
2016広島 | 284 (143, 141) | 0.580 (.265, .315) | 26 (13, 13) | 95 (32, 56) | 194 (102, 92) | 41 (28, 13) | 26 (3, 23) | 225 (119, 106) | 4 (1, 3) | 0.725 (.367, .358) | 1.529 (.739, .790) |
バッターのタイプとしては荒木選手は積極的に打ちに出るタイプ(四球は少ない)でどちらかと言えば菊池選手に近く、井端選手は粘り強く選球眼が良いタイプ(四球も多い)でどちらかと言えば田中選手に近いタイプとは言えそうです。
厳密に言えばタナキクが1,2番コンビで定着したのは2016年からですし、得点や打点などはその前後を打つバッターの成績にも左右されるものですのでこれらの記録が単純に各コンビの攻撃力を表すかには疑問の余地はあります。
それでも出場試合数がたまたまですがほぼ同じということで、比較して傾向くらいは十分に読み取れると判断しましたので上の表を使って比較していきたいと思います。
「アライバ」が「タナキク」より優れているところは?
アライバがタナキクより優れている部分として打率・出塁率の高さ、三振の少なさ、打点の多さ、そして盗塁の多さが挙げられます。
まずは打率ですが荒木選手は2年連続で.290超え、井端選手は2年連続で3割を超えています。
一方、田中選手は規定打席に達した年ではまだ一度も.280を超えられていない(規定打席未満だったルーキーイヤーの2014年は.292)ですし、菊池選手はまだ2年連続で安定した成績を収められていません。
ただ菊池選手は去年.315, 2014年は.325と単年では井端選手にも劣らない成績を残せており、田中選手が不調の波を短くして確実性が今後増して来れば十分追いつくことも可能な範囲だと思います。
続いて出塁率ですが昨年爆発したタナキクの成績をもってしても2005年のアライバに及びませんでした。
というのもこの年の井端選手がすごかった。
3割を超える打率に70を超えるフォアボールも選んで出塁率は4割超え。
去年の田中選手、菊池選手がともに.350を超える出塁率をマークしていますが、こちらも伸びシロがあるのはタイプ的に田中選手の方です。
今と同じペースでフォアボールを選んで、打撃の確実性を増すことができれば、アライバを超える可能性は十分と思っています。
打率、出塁率の面でまだ劣っているのは確認できましたが、アライバは嫌らしく何かしてくるイメージがありました。
そのイメージが確かな数字で裏付けることができたのが三振数の少なさです。
タナキクはシーズン平均で一人105程度の三振をしているのに対し、アライバは75程度。
何とかしてバットに当ててくるので、何かが起こるかもしれない嫌らしい印象があったのだと思います。
この一人30、二人で60の三振数の差は簡単に埋まるものではありませんが、少しずつ追い込まれてもバットに当てる技術を磨いていってほしいですね。
打点については下位打線からのめぐり合わせがあるので何とも言えませんが、後述するホームラン数ではタナキクが勝りながらも打点数でアライバが勝っているのは見逃せない事実ですね。
特に井端選手の打点が段違いに多く、荒木選手が出塁、二盗で井端選手タイムリーといった展開が寄与していたのではないかと推察します。
最後はその盗塁の多さです。
これは荒木選手が大いに寄与していますが、井端選手もシーズン20個以上の盗塁を決めていることも見逃せません。
そして盗塁数だけでなく、盗塁成功数でも差があります。
昨年の田中選手は28もの盗塁を決め、一躍盗塁王争いに絡みましたがその反面19個の盗塁死を記録しています。
一方荒木選手は40近くの盗塁を決め、失敗は10個前後。
盗塁は決まればチームに勢いが出ますが、失敗すると一気にチャンスをつぶしてしまう欠点があります。
田中選手の盗塁成功率ではトータルでは盗塁失敗のデメリットが成功のメリットを上回ってしまいますが、荒木選手のように8割近い成功率があれば話は全く違ってきます。
いろいろとみてきましたが、去年の圧倒的な得点力を誇った打線をけん引したタナキクを持ってしても、全盛期のアライバには上記のような点でまだ及ばないようです。
まだまだ上には上がいますね。
続いて今度はタナキクの方が優れている点を見ていきましょう!
「タナキク」が「アライバ」より優れているところは?
タナキクがアライバより優れている項目は、ホームラン数(長打力)、得点数、そして併殺の少なさです。
一つ一つ見ていきましょう。
ホームランについては昨年はタナキク二人ともが13本塁打を記録、アライバは二人合わせてもシーズンで10本記録していないだけに違いは明白ですね。
タナキクにはアライバにはない一発で点を取る力があることがわかります。
長打によるプレッシャーがあるかないかで投手にかけられるプレッシャーも変わってくるかと思います。
この点では疑いなくタナキクの方が勝っていると言えそうです。
続いて得点数です。
こちらも打点と同様、後続の打者しだいの部分もあるのでタナキクの力だけで言えるわけでもないのですが、昨年のタナキクが記録した194得点はアライバの175点より20点近く上回っています。
先ほど述べた長打力の差は大きく寄与していると思いますし、ホームランはもちろん、スリーベースの多さも関係していると言えそうです(タナキクが2年で18本、アライバは2年で10本)。
スリーベースの記録から察するにベースランニングの面でもタナキクに分があるのかもしれませんね(ただ単に田中選手が左打ちなのが寄与しているのかもしれませんが)。
最後に特記したいのは併殺数の少なさです。
去年のタナキクは二人合計でわずかに4つ(!)。
アライバは二人でシーズン20以上の併殺を記録しているだけに、特に田中選手を1塁において打席に立つケースが多かったであろう菊池選手のすごさが目立ちます。
これだけ併殺を免れているのであれば送りバントをせずに進塁打を頭に入れつつ打たせる作戦も採りやすくなりますよね。
さて、その送りバントの数については2015年のタナキク(おもに菊池選手)が圧倒しています。
去年のタナキクの数(26)がようやく往年のアライバの数と同レベルです。
昨年、菊池選手にはただ送りバントさせるだけでなく、より進塁打を頭に入れつつ打たせていくケースが増えましたが、この併殺の少なさから考えれば今後もおそらくそういうスタンスが定着していくと思います。
上位打線でこの併殺の少なさというのは相手にとってかなりのプレッシャーになっていると思います。
タナキクが既にアライバを上回る攻撃力を手にしている側面は確実にあると言えそうですね。
攻撃編結論
これまで打率・出塁率、三振、打点、盗塁についてはアライバが優れ、一方、長打力 (ホームラン数)、得点数、併殺数でタナキクが優れていることを見てきました。
攻撃編の結論としては一長一短、現時点ではひいき目に見て五分五分ではないかと思います。
三振が少なくバットに当てる能力に優れており、塁に出れば投手の脅威となるのはアライバ、長打力があり2アウトランナーなしの場面でもよりプレッシャーを投手にかけられるのはタナキクです。
タナキクが三振と盗塁成功率の課題を克服したとき、その時には堂々とアライバを超えたといって差し支えないのではないかと思います。
しかしこうしてアライバと比べることでタナキクの現在地、そして更なる強力なコンビへと昇華するための課題を確認できたのではないかと思います。
守備編・攻撃編総括
守備編ではまだアライバが優れており、攻撃編では一長一短で五分五分(ひいき目込み)と結論を出しました。
ただ、ここで考慮していないのはコンビ歴の長さ、プロ野球ファンへの認知度です。
アライバは10年弱にわたってドラゴンズの2000年代の黄金期を支えたことでその地位を築き上げました。
対するタナキクはまだ本格結成3年目、チームもまだ1年結果を残しただけです。
単年の成績でアライバに勝ったとしても、印象面でこの差はとてつもなく大きいです。
タナキクはまだ若いですし、これから全盛期を迎えてくれると信じています。
その全盛期がチームの黄金期と重なるとき、その時こそタナキクがアライバを超えたと自信を持って言えるのではないでしょうか。
菊池選手のコンディションが不安ですが、タナキクが名実ともに史上最強の二遊間コンビとして君臨する、そんな日を夢見て、これからも一戦一戦、必死に応援しようと思います。
タナキクコンビだけでなく、全員頑張れ、カープ!
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