中継ぎとしてMVPを獲得するなど一世を風靡した中日ドラゴンズの浅尾投手が今シーズン限りでの引退を発表しました。さらにジャイアンツの3連覇を支えた西村投手・山口投手も30台半ばでの早い引退を発表。相次いだ名中継ぎ投手の引退から今日は考えてみたいと思います。
今回この記事を書くきっかけとなった記事はこちら
浅尾からサファテへの返信。酷使か、美談か。今こそ“投げ過ぎ”を考える。 - プロ野球 - Number Web - ナンバー
浅尾投手の成績を振り返る
2006年にドラフト3位で入団。
ルーキーイヤーの2007年は先発・中継ぎどちらでも登板をしましたが2008年中継ぎとして44試合で防御率1.79と頭角を表しました。
2010年・2011年は本当に圧倒的な成績。
2010年に72試合に登板、中継ぎながら12勝!?47ホールドで防御率は1.68。
登板数を上回る80 1/3回も投げています。
そしてシーズンMVPに輝いた2011年。
前年を上回る79試合に登板、中継ながら7勝45ホールド10セーブで防御率はなんと0.41。
この年も登板数を上回る87 1/3回も投げてまさしく獅子奮迅の働き。
中継ぎ投手としては異例のMVPも成績から見れば当然と言えるでしょう。
しかしやはりこの時のフル回転が響いて投手寿命は縮まり、わずか33歳にて引退することとなりました。
2012年、2013年はケガで30試合前後の登板に留まりながら投げれば好成績を残しましたが、2014年が防御率6点台…。
2015年に36試合に投げて防御率3.17と復調の気配を見せましたが、2016年以降は投げられてもシーズン10試合程度。
最後まで全盛期の球威は取り戻すことができませんでした…。
記事や引退会見を見た限りでは本人も太く短い野球人生に後悔がなさそうなのが救いですが、もう少し落合監督の起用方法が違っていたら今頃どうなっていたか…そう考えずにはいられません。
中継ぎ投手は投げさせすぎると長いスパンで見ると影響が出るのか?
この問いにはyesと答えるしかなさそうです。
同じく引退を発表した西村投手も2012年、2013年の70試合前後を投げてセーブ王を獲得したときをピークに、翌2014年に多少成績を落としながらも50試合に投げると、2015年、2016年はケガに苦しみ1軍で投げるのがやっとという感じになってしまいました。
2017年は再び45試合に登板しカムバックを果たしましたが今年は1軍登板を掴むことなく引退。
西村投手は33歳での引退です。
さらには山口投手。
2008年から2016年まで9年連続60試合に登板した実績を誇る言わずと知れた名セットアッパーですが、2016年は防御率4.88と奮わず。
昨年はわずか18試合の登板、今年は1軍登板無しで34歳で引退することとなりました。
9年連続60試合登板も十分すぎる偉業ですが、やはり少し引退が早い気はします…。
こうしてみるといかに毎日肩を作る可能性がある中継ぎ投手への負担が過酷であるかが示唆されているわけです。
もちろん例外はありますが、やはり傾向としては先発投手の方が選手寿命自体は長くなるのかもしれませんね。
同じく今年で引退の岩瀬投手は例外中の例外と言えるでしょう、登板数プロ野球記録保持者は伊達ではありません。
15年連続で50試合以上に登板(しかも1年を除いて防御率は悪くても2点台!)とはもはや人間の所業とは思えません。
それと通じるものがあるのがファイターズの宮西投手です。
入団以来11年連続で50試合以上に登板(今年も54試合に登板して継続中!)。
しかもうち9年で防御率2点台以下を記録して、今年は防御率1.81で自身2度目の最優秀中継ぎのタイトルを確定させています…恐るべし。
カープ中継ぎ陣の来シーズン以降は?
現状カープ中継ぎ陣で最も安定して成績を残してくれているのは中崎投手です。
直近4年連続50試合以上に登板して、うち3年は60試合を超えています。
唯一60試合に届かなかった昨年でさえ59試合に登板、CSを入れれば60試合を超えて投げています。
防御率も2点台、1点台、1点台、2点台と好成績。
さすがに今年の夏場は勤続疲労の影がちらつきましたが、何とか持ちこたえてシーズンを完走してくれました。
これだけ投げてくれているんです、成績が落ちたとしてもそれは中崎投手のその時の不調というよりは勤続疲労によるものと考えるべきでしょう。
今年も2点台にまとめてくれましたが昨年から防御率は大きく落ちており、傾向からいえば来年が心配な一人です…。
中崎投手に次ぐ登板数を誇ったのは一岡投手です。
昨年の59試合に続いて今年も59試合に登板。
2年連続で中継ぎ陣に安定をもたらしてくれた貴重な存在となりました。
防御率は昨年の1点台から2点台に悪化していますが、被打率はそこまで大きく悪化していないです。
ただ元々肩に不安を抱えており、2年連続での60試合近くの登板。
さすがに浅尾投手や西村投手のように70試合も投げたわけではないのでまだマシかもしれませんが来年はこちらも未知数でしょうか…。
続いてジャクソン投手。
1年目から67試合に登板、昨年も60試合に登板してチームに大きく貢献してくれているのは記憶に新しいところです。
今年もなんだかんだで48試合に登板。
特に前半戦は勝ちパターンの8回をきっちり担って打線の調子が上がりきらなかった時期でもチームが接戦を勝ちきる原動力になってくれたことを忘れてはいけません。
ただ今年は被打率が大幅に悪化…シーズン後半少し休めたのが良いきっかけになればよいのですがヘルウェグ投手の台頭もあり、今後のCS次第ですが来年の契約は少し怪しいかもしれません。
今村投手は今年は41試合の登板に留まりましたが、ここ2年67試合、68試合に投げて防御率は2点台中盤とまさに大車輪の働き。
誰が今年の成績だけで責められるでしょうか…。
2011年から2013年にかけて3年連続50試合に投げた後、カムバックするまでに2年間苦しんだ時期がありました。
今度はそれよりも短くカムバックしてもらえると嬉しいのですが…過去の経緯を見ると来年厳しいシーズンになってしまっても驚きません…いや、こんな予想外れてほしいですが。
もう一人今年苦しんだのが中田投手。
昨年53試合に登板してブレークした2014年以来久々に50試合以上に登板。
その2014年は66試合に登板、それもイニング跨ぎも珍しくないというすさまじい起用をされたこともあって78 2/3回を投げました。
しかし確実にその代償があり、以降丸々2年苦しむことになりました。
今年は再びボールの球威に陰りが見え、14試合登板で防御率は14点台…来年のカムバックに期待したいところですがあまり右肩が強い印象はないのでどこまで戻ってきてくれるか未知数です…。
そして今年大ブレークしたフランスア投手。
シーズン途中からの支配下選手登録にも関わらず47試合に登板。
最初は先発やロングリリーフをしていたこともあり投球イニング数は65回にも及びます。
優勝が決まってから登録抹消されたのでまだ良かったですが、明らかに登板過多といってよいペースで投げさせまくってきました。
素晴らしいボールを投げて今年の後半戦のカープを支えてくれたことを疑う余地は一切ありませんがやはり投げさせすぎです。
ここまでカープ中継ぎ陣だけの勤続疲労による不調の経緯を書いてきましたが、あらためてまとめてみるとゲーム差に余裕があった中での8月の日本記録に達する登板を果たしてどこまで正当化できるのか、疑問に感じざるを得ません。
もう一人、今年カープ中継ぎ陣をしっかり支えてくれたのはアドゥワ投手です。
高卒2年目にして53試合、しかもイニング跨ぎもこなして67 1/3回も投げてくれました。
ここまで早く戦力になってくれるとは首脳陣も思っていなかったと思いますが、まだ身体が完全に出来上がる前のこれだけの負荷。
来年は中継ぎではなく、先発に回す英断に期待したいですがどうでしょうか…。
ようやく開花したフランスア投手やアドゥワ投手の才能、少しでも長くみられるように来シーズン以降の起用法に改善がみられることを願って今日は記事を締めたいと思います。
あと、中継ぎ投手は3年のうち2年結果を残してくれれば大変素晴らしい、それくらい過酷なポジションだと思います。
それだけに勝ちパターンでの起用が期待できそうな中継ぎ投手を最低5人、できれば6人は抑えておきたい…来年の岡田投手の中継ぎ転向、アドゥワ投手の先発転向、大いにありだと思います。
近年その役割がどんどん評価されてきてはいますが、年棒での評価もそうですが、やはり中継ぎ・抑え投手の地位はもっともっと向上すべきだと思います。
特に今年は先発陣が大瀬良投手・ジョンソン投手を除いて中々安定しない中で本当に中継ぎ陣はよくやってくれたと思います。
CSでもその右腕、左腕でカープの日本一への道を切り開いてください!
34年ぶりの日本一奪還へ、明日からも一戦一戦、チーム一丸で頑張ろう、カープ!
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