僕らもカープ

現在海外在住のカープファンが、現地観戦できない分の思いも込めて、カープを応援し続けるブログです。20数年来、カープを応援してきた視点から今年のカープの軌跡を自分なりに追いかけていくブログです。

遅咲き開花の中村恭平 覚醒につながった身体の進化と球速アップ 中継ぎ左腕トリオ維持へ疲労を乗り越えろ!【閑話休題】

カープに大卒で入団して今シーズンで9年目、30歳にして1軍での自分の居場所を掴み取った中村恭平投手。大卒でドラフト2位で指名されながらも、即戦力ではなく素材型との評価での入団。プロ入り後、伸び悩んでいた左腕がどうしてここまで伸びたのか…オフのトレーニングで球速を取り戻したことが一番の要因のようです。

   

 

大卒ながら素材型として期待を受けてのドラフト2位入団

中村恭平投手は2010年に富士大学からドラフト2位でカープから指名を受けて入団。

当時社会人野球のトヨタに入団が内定していながら本人たってのプロ志望にトヨタ側は2位までの指名ならプロ入りを認める方針を示して、見事にカープから2位指名を受けての入団でした。

 

ただ本人も当時は下位指名を覚悟していたように、球速こそ大学3年で149 km/h、大学4年では153 km/hとグングン伸ばしていたものの制球面は定まらず、変化球はストライクを取れる球がないという未完の大器としての評価がスカウトの間では主流だったようです。

なぜ制球が定まらなかったか…それは身長が伸び続けていたことにリリースポイントの変化に中村恭平投手自身がついていけなかったからのようです。

 

中学時代は背の順で一番前だったと本人が語るように、高校入学時点で158cmと小柄、それが大学入学時点では180cmと急成長。

それに応じて130 km/h台だったストレートの球速も141 km/hまで伸びたそうですが、同時にリリースポイントが狂い変化球は試合で怖くて投げられない。

そんな状態となって投球スタイルも高校時代の変化球主体の軟投派から自然とストレート主体の本格化へと変化していったようです。

 

大学でも身長は伸び続けて気がつけば186 cmに、そして球速も153 km/hまで伸びました。

ただ制球面、特に変化球に大きな課題を抱えていた中村恭平投手への当時のカープスカウトの評価はやはりあくまで素材型としての評価。

大学時代には全国大会で50球中48球がストレート (残り2球は思い切って投げたスライダーのすっぽ抜け)、相手にストレートを狙われないようにキャッチャーからのサインで首をわざと振ったなんていう逸話も残しているほど、変化球を投げられない投手でした。

それでも投球フォームの柔らかさとストレートの球威を評価して、中村恭平投手のドラフト3位以下ならトヨタ入りという条件にも配慮してのドラフト2位指名を決断、入団に至っています。

 

 

 

 

 

カープ入団後の厳しい現実…

プロ入り後の中村恭平投手の実績、昨年までの評価はカープファンの皆さんはよくご存知かと思います。

ルーキーイヤーの2011年には3試合だけ先発するも平均5回を投げられずに2敗防御率4.05。

1軍では通用しませんでしたが、素材型の評価通りでしたのでまずまずの1年目を過ごしました。

ただ2年目の2012年は飛躍を期待されながらも、先発チャンスはつかめずに中継ぎで8試合に登板も防御率4.85。

 

嬉しいプロ初勝利は3年目の2013年。

1勝5敗と結果は残しきれませんでしたが、11試合に先発して防御率は3.96と成長の跡を見せ、一時期先発ローテーションの座を掴み、飛躍のきっかけを掴んだかという年でした。

 

ただそこからは苦しい苦しい雌伏のとき。

制球難の課題を克服できずに、フォームも試行錯誤。

結果球威の輝きも失い、プロ入り4年目の2014年にははじめての1軍登板無しを経験。

翌2015年もわずか1試合のみの登板と完全に自分の居場所を失いました。

 

2016年には先発不足のチーム事情もあって8試合の先発チャンスを得ますが1勝1敗防御率は5.40と低調な成績。

35イニングしか投げられず、17奪三振よりも18与四球の方が多い、しかも被打率も3割超え…そんな数字を見れば当時の評価は伺えるかと思います。

 

2017年に1軍登板なしに終わっても待望論はなく、20代後半に差し掛った年齢もあり毎年秋には戦力外の候補として名前が挙がるような状況へと追い込まれての今シーズンでした。

 

 

 

そして居場所を自らの左腕で掴んだ覚醒の2019年!

今シーズン、中村恭平投手は当然のように春季キャンプは2軍スタート。

3月中旬になってようやく1軍でのチャンスを掴むとオープン戦では最初の2試合は140 km/h後半まで球速を取り戻したストレートを軸に無失点ピッチングを披露。

ただ3戦目に制球を乱して4四球にホームランも絡んで3失点と内容も結果も悪く、2軍落ち。

今年も苦しいスタートだったんです。

 

島内投手の不調で今シーズン初めて中継ぎ投手入替えがあったタイミングでも昇格したのは藤井投手。

その藤井投手が不調、続けて中田投手も抹消となっても声がかかったのはアドゥワ投手、そして矢崎投手。

それもそのはず、中村恭平投手は2軍でも3試合ながら防御率6.75と結果を残せていませんでしたが、乱調の岡田投手の抹消でアドゥワ投手が先発に回る際に不足したロングリリーフも出来る投手ということで訪れたチャンスを見事に生かしました。

 

そこから勝ち試合の大事な場面を任される今のポジションを掴み取るに至るまでは皆さんご存知の通りです。

今年の飛躍の秘密として、以下の記事がよくまとめていましたので参照します。

 

【勝負を懸ける鯉戦士】9年目・中村恭平投手(デイリースポーツ 中国スポーツ・エンタメコラム) - goo ニュース

 

オフに下半身より上半身のウエートトレーニングに重点的に取り組み体重は7kgの大幅増。  

春先はその新しい肉体の使い方に試行錯誤していたようですが、体全部を全力で使うのではなくできるだけコンパクトに、8割程度の力の入れ具合で体の芯だけに力をこめるイメージで投げることで下半身を上手く使えるようになり球威が増したそうです。

これは開幕前の記事なのでその後の結果を残せなかったタイミングからどのように立て直したかは不明ですが、おそらく4月中旬に1軍に昇格するまでの間に不調のサイクルを終え、そこから徐々に調子が上がってくる時期と上手くかみ合ったことも影響はしているかと思います。

 

そして中継ぎとしての心構えも中田投手らから学び、考えるのではなく開き直ってマウンドに上がるしかない、腹をくくるしかないと良い意味での開き直りも手に入れたようです。

先を見ずに1試合ずつ、1アウトずつ。

その結果が最終的に1年での好成績につながる。

まさにそんなピッチングを体現してくれていますよね。

 

昨年までのストレートとフォーク中心の組み立てに球速が上がってカットボールに近くなったスライダーが加わり、ぐいぐい球速のあるボールで打者を押し込めるようになっています。

球威のおかげで多少甘くなっても打たれない、良い意味でアバウトなコントロールでピッチングできており、課題のフォアボールもここまで4イニングに1つ程度と素晴らしい成績です。

昨年までの毎回のようにフォアボールを出すイメージ(実際に過去数シーズンの記録を見ても2イニングに1つを大きく超えるペースでフォアボールを乱発しています)からの脱却に成功しています。

上から思い切り腕を振り降ろせていますので、多少高めに浮いたボール気味のストレートでもバッターが手を出してくれて、カウントを稼げているという面も大きそうです。

 

いや、シーズン前からの期待値からの上乗せで考えれば間違いなく中村恭平投手が今シーズン一番のサプライズです。

本当に良くぞここまで…記事をまとめていても深い感慨がこみ上げてくるのを抑えられません。

 

改めて中村恭平投手をここまで信じたカープ球団の判断には脱帽。

そしてその球団からの期待に応えた中村恭平投手にも脱帽。

そして誰よりも奥様はじめ、ご家族のみなさんが喜んでいることでしょう。

 

4月の段階では好投してもいつまた昨年までの姿が顔を見せるかヒヤヒヤしながら見ていたのが懐かしい…。

でも1軍で20試合以上、そして25イニング以上を投げて防御率1点台はまぐれでは出来ません。

眠れる大器が覚醒、開花したと思います。

 

ここ数試合は安定感を欠いてしまっていますが、長いシーズン当然こういう時期はやってきます。

プロに入って初めて1軍で不可欠の戦力として扱われ始めていることは本人が一番感じているはずです。

これだけの数字を残せていることを自信に、ここまでの自分のスタイルを見失わずに目の前の1試合、1アウトを積み重ねる気持ちで残りのシーズンも主力として駆け抜けて欲しいです!

本当にすごいぞ、頑張れ、中村恭平投手! 

 

球団記録をさらに更新するリーグ4連覇へ、チーム一丸で今年も頑張ろう、カープ!

 

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